都会への憧れ 田舎への憧れ

僕は大学を出るまで田舎で育った。

 

移動手段は車と自転車が9割。

車はもちろん自家用車。

バスはほとんど本数がなく、電車も1時間に1本あるかないか。

大型のショッピングモールなんてあるわけもなく、買い物はローカルなスーパーやドラッグストアで済ませる。

娯楽施設はボーリングとカラオケと映画館。

ウインドウショッピングを楽しんだり、何かのイベントをやってる場所なんてない。

 

それでも僕は、十分に満足して生活していた。

というか、都会で生活するということを知らなかった。

 

社会人になって、福岡に引っ越した。

電車で通勤することになったし、仕事帰りに歓楽街に呑みに出ることも多かった。

休みの日はウインドウショッピングをしたり、理由もなく街をぶらつくのが楽しかった。

電車は10分に一本は出るし、自分の車なんて必要なかった。

そして福岡で数年を過ごし、僕は東京へ出た。

 

当たり前だけど、東京は福岡より都会だった。

どこに行ってもイベントが起こり、刺激的な毎日だった。

何より、掴めるかどうかわからない数多くのチャンスがあった。

個人的には、チャンスの数は人口に比例するんじゃないかと思ってる。

チャンスの質については別問題だけど。

 

ただ、たまに海が見たくなったり、自然の中に身を預けたくなることもあった。

時には地元に戻りたいと考えることもあった。

でもそれ以上に、都会の便利さに慣れてしまった。

 

 

都会は疲れたといって田舎にあこがれる人もいる。

田舎は何もないといって都会にあこがれる人もいる。

僕はどちらの生活も経験してるし、どっちがいいなんて分からない。

 

田舎には田舎で生活するユルさと、それに応じた不便さが存在する。

都会には都会で生活する激しさと、それに応じた便利さが存在する。

 

つまりは無いものねだりになってしまうんだ。

自分の欲求と、周りの環境とを、どうやって折り合いつけて暮らしていくか。

もちろん、そこに仕事や家庭環境など様々な要素が加わってくるはずだけど。

 

 

あー、どこでもドアがあったらいいのにな。